纒向学センターの設立
-纏向学研究センターの組織改変-
Ⅰ.主旨
現在の纒向学研究センターは、教育委員会の文化財課に属し、調査、研究、保全の企画・推進を行う
纒向学の実践を行う
となっているが、
これを、市長直轄の「纒向学(実現)センター」とし、
教育委員会文化財課に加え、都市建設部とまちつくり部の人材も参加した、
調査部、研究部、活用部からなる組織とし、
纒向遺跡の調査・保全、研究、利活用を図って纒向学を実践するものにする。
Ⅱ.遺跡の利活用の考え方
これまで纒向遺跡では保存ばかりが強調されて利活用する視点が欠けていたが、これからはその活用を積極的に行う必要があると言われることがある。一般的にも、遺跡が存在する地域において、地域の活性化に遺跡を利活用するということが言われる。
ただし、遺跡の活用においては、遺跡の保存をベースとした活用、すなわち遺跡の持っている価値を充分に生かすような保存の在り方としての活用ということが大前提であって、埋蔵文化財を破壊して利用するということは許されない。埋蔵文化財はそれを有意義に保存することによってその価値が広く認められ、その結果が利用可能となるのであって、破壊されれば二度と利用することはできない。
纒向学センターに活用部を作った場合にはこの原則が絶対的に貫徹されるようにする手当が予め必要と思われる。
Ⅲ.纒向遺跡の保存と活用のグランドデザインの作成
文化庁(決定能力のあるキャリア課長)にレクチャーして予算を獲得できるような説得力を持った構想を作成する必要がある。纒向遺跡の日本の歴史における位置づけと意義を確認し、それが広く認識されるようにするために必要な遺構(埋蔵文化財)の見える化を実現し、纒向遺跡の意義を啓発するため、優先度をつけた事業系列を提示する。
『史跡纏向遺跡・史跡纒向古墳群-保存活用計画書-』(2016,3)を再検討し、最終的に望ましい全体構想の作成と、優先順位を付けた長期的な整備計画を作成する。
見える化の例としては、石塚古墳の復元が最も必要度が高く、古墳群や遺構の見学ルートの整備と、スマホで検索されるガイドアプリやVRによる遺構の再現の開発などがある。
Ⅳ.ガイダンス施設に必要な施設
ガイダンス施設の設置はすでに計画されているが、その施設には次のような施設を整える必要がある。
①現地展示施設(埋蔵文化財センターの纒向関連を移設展示)
②遺跡のブリーフィング室(数十人規模のビデオ解説・講義を受ける部屋)
③遺跡めぐり案内所
④遺跡ガイド(ボランティア)の拠点
⑤貸自転車システム
⑥休憩室・地元産品の販売店・軽食喫茶・ミニコンビニ
⑦地域住民の「集いの舘」(地域サロン)も併設して観光客と地元住民との交流を図れるようにするのが望ましい。