思い付き・提案

  1. HOME >
  2. 思い付き・提案
 1.三角縁神獣鏡の編年指標

 三角縁神獣鏡は、道教において辟邪に効果があるとされる面径8寸以上の大型の神獣鏡を、前方後円墳祭祀における葬送具として提供すべく、大量に生産できるように創作された鏡であり、一枚の鏡をできるだけ少ない材料で、かつ鏡面に大きなひずみを生じることなく製作できるようにする技術革新の成果として実現されたものである。
 現在、三角縁神獣鏡の編年指標指標として、内区と外区の肉厚の比を指標とし、外区の厚さが内区に比べて厚いものが古く、新しくなるほど外区の肉厚が薄くなり、最終的には外区と内区の肉厚に殆ど差が無くなるという編年指標が提起されている。すなわち、外区の肉厚を薄くすることで材料の節約を実現したものである。
 三角縁は、大形鏡を実現しながら鏡面の歪みや割れを生じないようにするための技術として確立されたものであり、材料節約のために外区の肉厚を薄くするに対応して三角縁の形状も自ずから変化させられる。即ち、外区の肉厚と三角縁の高さの比、また三角縁の底部幅と三角縁の高さの比を編年指標とすることによっても、有意な編年が実現できるように思われる。